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＜ エピローグ ＞
「うおおぉっ！！」
そう叫びつつ、相手に向かって剣を振り下ろした。
その軌道は、今までの中では最高の一撃だと思った。 我ながら、鋭い一撃だと。
だが、剣の先に相手は居なかった。 叩きつけたのは地面。 俺の体勢は大きく崩れる。
体勢を立て直す前に、背後から人の気配！ それに気付いて、振り返る前に、衝撃が来た。
「がぁっ！？」
腹を打たれた。 衝撃で、倒れ込む。 打たれた腹を押さえつつ、二三回、地面を転がる。 痛みで、少し涙が出た。
転がりながらも考える。 ・・しまった、これじゃ格好の餌食だ。 次に来る攻撃を、この体勢ではかわせない！
相手が迫って来るのを、涙で少し霞む視界で捉える。 相手は素早い動きで、俺の傍らに立ち、そして・・。
「甘いです！」
そんな声と供に、頭に一撃。 それ程重くは無かったが、思わず頭を抱えてうずくまる。
「・・ち、ちょっと痛いって・・倒れてるのに、追い打ちは無いんじゃないか？」
そう文句を言う俺に、手を差し伸べるかりん・・そう、もちろん相手はかりんだ。
その手を握って立ち上がる。 立ち上がったのを確認して、かりんが口を開く。
「痛いのは、練習が足りないからです。 倒れ込むのは良くないと、何度も言った筈です。
私が相手なら良いですが、もしこれが猿怒や桃太郎だったら、この程度では済みませんよ？」
そう言って、今度は放してしまった竹刀を、差し出してくる。 それを受け取る。
「さあ、始めますよ！ 構えて下さい！
少なくとも、桃太郎に戦いを挑まれても勝負になるくらいは、強くなって貰わないと！」
「い！？ あ、あの、桃太郎が相手じゃ、俺には無理だって！」
そう言いつつも、一応構える。 それを見て、かりんも構える。
「無理でも何でも、やってもらいます！ そうしないと、私、不安で夜も眠れません！」
「そ、そりゃ困ったな。 夜眠れないと、美容に悪いしな。 可愛いかりんちゃんの顔、見れなくなるのはイヤだな。」
俺の言葉に、少し顔を赤くする、かりん。
「む、無駄口を叩いてる時間はありません！ この後は、霞三連の練習が予定に組んであるんですから！
それでは・・行きます！」
そう言いつつ、かりんが打ってくる。
「そ、その、霞三連なんだけど、ほ、ホントに俺、使ったのか！？ い、イマイチ、思い出せないんダケド。」
攻撃を受けつつ、かりんに聞く。 かりんは、鋭く剣を振りつつ答える。
「はい、見事な一撃でした！ ですが、鍛錬を積めば、更に威力が増す筈です！」
ほ、ホントにあんなスゴイ技を、俺が使えたんだろうか？ かりんは嘘をつかないから、ホントだとは思うけど・・。
「で、でも、例え霞三連が使えても、桃太郎の相手は・・俺の強さじゃ、無理だと思うけどな。」
「いえ、牧村さんは、鍛えればかなり強くなります！ 私もお手伝いしますので、一緒に頑張りましょう！」
そう言いつつ攻撃してくるのを、何回か受け、避ける。 何とか攻撃を全て受け、間合いを広げる。
な、何というか・・これが対等の関係と言うモンなんだろうか？ ・・想像してたのと、ちょっと違う気がするんだケド。
トニカク、このまま負けっぱなしってのも情けないので、少し、精神的に揺さぶる作戦に出る。
「あのさ・・一ついいかな？」
「・・？ 何でしょうか？」
「土曜・・かりんちゃんに膝枕して貰ってた時。 俺、目を閉じたまま少し起きてたんだけどさ。
寝る前に・・俺の唇に、何か当てなかった？」
俺がそう言うと、一瞬で真っ赤になる、かりん。 手も振るえてる・・こりはチャンスか？
「そ、そんな、余計な事を考えないで済むくらい、ビシビシ行きますよ！」
そう言って、飛び込んできたかりんに、一瞬にして間合いを詰められる。 そして、手加減の無い一撃が、頭に来た！
「いぃっ！！？」
し、しまった・・作戦ミスだったか。 最後に見えたのは、サスガに慌てた、かりんの顔。 真っ赤になった、その顔だった。
痛みで、そのまま意識が遠のいて行く。 倒れつつ、薄れていく意識の中で考えた。
・・何で、こんなコトになったんだっけ？
・・・霞三連・秘話 おしまい♪
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