＜ １ ＞
今までに感じたコトのないくらい眩い光に、優希は目を閉じた。
そして、幾許かの浮遊感を感じた後に、辺りを照らしていた光は、いきなり消えた。 ‥辺りを静寂が包む。
優希は、恐る恐る目を開けた。 そして辺りを見回して、首をかしげた。
「‥‥‥あ、あれ？」
目を開けて、そこに見えた光景は‥‥美術準備室ではなく、見慣れない建物の廊下だった。
いや、ドコかで見たことがある‥‥そう考え、もう一度辺りを見回して分かった。 そこは、聖遼学園の廊下だった。
「‥‥でも、ドコかが違う？ 少しだけど、ドコかが‥‥‥あっ、流水音先輩は‥？」
そう呟いてから、今度は流水音を探して、辺りを見回す。 ‥だが、廊下で待っているはずの彼女の姿を、見つけるコトは出来なかった。
‥一体、何が起こったのだろう？ 何一つ分からない優希は、ただ呆然と、そこに立ち尽くしていた。
コツ‥‥コツ‥‥。
すると、そんな軽い足音が聞こえてきた。 ‥ああ、どうやら人はいる様だと、少し安心する。
音がしたのは、階段の方だった。 優希は小走りに駆け寄り、階段から降りてきた人影に声をかけた。
「‥あ、あのぉ‥‥‥スイマセン」
「・・はい？ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥は、はい？」
相手が、自分の姿を見るなり固まったので、優希はもう一度首をかしげた。
階段から降りてきたのは、見慣れない赤い制服を身にまとった女の子だった。
こんな制服は見たコトがないから‥‥転校生なのだろうか？ そう考えつつも、口を開く。
「‥あ、あの、今、床が光りませんでしたか？ それにココ‥‥少し、おかしい気が‥。
あっ、そうだ！ 流水音先輩がこの廊下にいたはずなんです。 ドコに行ったか、ご存知ありませんか？」
そう言って優希が一歩進むと、女の子は一歩下がった。 良く見ると、その体は小さく震えていた。
「‥？ あ、あの‥」
「‥き‥‥‥きゃ〜！！！！！！」
もう一歩、優希が近づこうとすると、女の子は金切り声を上げた。
「‥え！？ ‥ど、ど、ど、どうかしましたか！？」
「お、おおおお、おばけ！！ おばけぇ！！！」
そう叫びつつ、女の子は走り去った。 再び呆然と立ち尽くす、優希。
‥お、お化け？ ‥‥い、一体、ドコにオバケが？ 後ろを振り返るが、誰の姿もない。
首を傾げてから、ふと横を見て納得した。
窓ガラスに映った自分の姿が、さっきまでの光の名残か‥‥怪しげに‥まるでゴーストの様に発光していたのだ。
・・・続く