ＡＮＯＴＨＥＲＷＯＲＬＤ

ＭＢＳＳ　　　『プロローグ』　　　　

何も聞こえない。音も　声も。

何も見えない。人も　街も　光も。

何も感じない。生きてる心地も　人のぬくもりさえも……。

俺は死んだのだろうか…？　そう思わせる、ここはそんな空間。

　ふいに、一つの光が見えた。光はどんどんこっちに近づいてくる。

これは…なんだ？…やわらかくて、温かい。…人の…ぬくもりがする？

「新しい世界をのぞむの？」

やさしくて、心地よい。…人の…声？

「創りたいんだね？君の世界を。」

俺は答えようとした。…声が出ない。

「大丈夫、…ちゃんと、わかるから━━━━」

　その瞬間、辺りがパァっと温かくて明るい光に満ちた。気分が天に昇る感じがする。

そして…

「ジリリリリリー！　ピッピッピッピッピッピ…」

「うわー！！」

　俺の耳元で、二つセットしてある目覚ましがいつものようになっている。それを俺は
手を伸ばして、止めた。
「ったく…、毎日毎日鳴りやがって…、たまにはさぼれってんだ。…って、俺なに一時間も
早くタイマーセットしてんだよ…、馬鹿か？」

　いつもより早く起きてしまった俺は、渋々部屋にかけてある白い聖遼学園の制服に袖を
通し、「ふぁ～」と大きなあくびをしながら階段を下りていった。

「そういえば、なにか夢を見てた気がするな…、どんな夢か思い出せないけど…、
まあ、いいか。」
　
　そんなことを考えながら、顔を洗って、歯を磨き、朝食の準備をしていた。今朝のメニューは
目玉焼きにトースト一枚、それにコーヒー一杯である。

「ふう、どうしよう。まだ時間がかなりあまってるぞ…。どうする？弁当でも作ってみるか？」
確かに、『目玉焼き弁当』とか『野菜炒め弁当』とかなら作れると思うけど、そんなもの
食べたくない…。、

　朝食を食べ終えた俺は、しかたなくこのまま学校へ行くことにし、靴を履いて、玄関の戸を
静かにあけた。

　
　　外からは、秋のよく晴れた日差しが差し込んできた━━━。

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