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ドラマＣＤ？　特別編　その２　　　Ｐ５




町の外にて。


かりん　　「も、申し訳ありません！　遅れました」

沙夜　　　「あっ、ううん。　あたしも、ちょっと動揺して忘れてたし‥。　だから気にしないで？」

瑞希　　　「でも良かったね。　神瞳さんがいない時に、モンスターが出なくて‥。　もし出てたら、全滅してたね‥タブン」

かりん　　「ほ、本当に申し訳ありません。　今後は注意します‥」

沙夜　　　「まあまあ。　ホントに、そんなに気にしなくて良いから‥。
　　　　　　　ほら。　それより、あれじゃない？　セラさんの言ってた洞窟って」

静乃　　　「あ〜、みたいですねぇ。　‥あれ？　洞窟の前に、誰かいますよ？」

瑞希　　　「あれって‥瑠羽奈さん達じゃない？」

沙夜　　　「あっ、ホントだ。　良かったぁ、まだ無事だったんだね。
　　　　　　　お〜い、瑠羽奈さ〜〜ん！」

瑠羽奈　　「‥ん？　あら。　これはこれは、小さな勇者ご一行様じゃありませんこと？」

沙夜　　　「‥‥‥‥‥‥‥‥ち、小さな‥‥‥‥」

静乃　　　「さ、沙夜先輩‥小さいって、ムネの事じゃないですから。　‥落ち込まないで下さい」

かりん　　「お久しぶりです、みなさん。　ご無事でなによりです」

唯芽　　　「お師匠さま達も、ご無事でなによりですぅ。
　　　　　　　‥って、当たり前ですよねぇ？　なにしろ、天下無敵のお師匠さまが付いてらっしゃるんですから！」

瑞希　　　「付いてない時もあったけどね‥」

かりん　　「ううっ‥‥申し訳ありません‥」

静乃　　　「それに、仲間から攻撃される事もあるし。　油断は出来ませんよね？」

沙夜　　　「あうあうぅぅ‥‥‥ホントにゴメン‥‥」

瑠羽奈　　「あらあら、ちょっと見ないウチに、スゴイコンビネーションを使えるようになったわね‥。
　　　　　　　やるわね、沙夜ちゃん！」

沙夜　　　「‥コンビネーションは良くなっても、仲は悪くなってる気がします‥」

静乃　　　「それより、みなさんココに何しに来たんですか？」

瑠羽奈　　「ふふん。　そんな重要なコト、おいそれと教えるワケには‥‥」

命　　　　「うん、それがね。　ここから他の場所に行けるって聞いたんだけど、壁があって通れなかったの」

瑠羽奈　　「‥って、チョット！　簡単に教えてるんじゃないの！」

命　　　　「え、なんで？　みんなで協力して、世界を平和にするんでしょ？」

瑠羽奈　　「もう忘れたの！？　沙夜ちゃんは、あたし達を落ちこぼれ扱いして、さっさと旅に出ちゃった、ちっちゃい人間なのよ！？
　　　　　　　そんなのに協力するコトなんて、無いっての！」

沙夜　　　「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ちっちゃい‥‥‥」

静乃　　　「で、ですから、ちっちゃいムネってコトじゃないですから‥‥」

瑞希　　　「‥でも、さっさと旅に出ちゃったのは、瑠羽奈さんの方だったよ‥？」

かりん　　「そうですね。　それに沙夜さんは、誰かを落ちこぼれなどと言う方ではありません」

瑠羽奈　　「あ〜、はいはい。　勇者様は、お偉いですからね〜。
　　　　　　　そのお偉い勇者様は、レベルいくつなのかしら？」

沙夜　　　「れべる‥‥ですか？　なんですか、それ」

瑠羽奈　　「レベルはレベルよ。　その人の強さを示す、数値ってトコね。　モンスターを倒せば、上がって行くのよ。
　　　　　　　ちなみに、あたしが８で、みこピーと唯芽ちゃんが７ね」

沙夜　　　「はぁ‥そうなんですか。
　　　　　　　それなら、あたしはまだ、モンスターさんを倒してないですから‥‥多分、１ですね」

瑠羽奈　　「はぁ？　まだ倒してないの？　今まで一体、何してたのよ」

沙夜　　　「ま、まあ、色々と‥。　モンスターさんを倒したのは、まだ神瞳さんだけだから‥」

瑠羽奈　　「なんだ。　誰が倒しても、一緒にいる人の経験値は上がるのよ？　だから、沙夜ちゃんもレベル２になってるかもね」

沙夜　　　「あっ、そうなんですか？」

瑞希　　　「うん‥そうだよ。　‥‥例え、戦闘の最初から最後まで寝てても、経験値は入るから‥」

静乃　　　「‥‥何で、私を見ながら言うんですか？」

瑞希　　　「‥なんとなく」

沙夜　　　「へぇ〜、初めて知りました。　それは、便利ですね」

瑠羽奈　　「全く、勉強が足りないよ？
　　　　　　　大体、そーゆーシステムじゃないと、あたしみたいな補助役の職業は、全然レベル上がらないじゃない」

命　　　　「‥‥ほ、補助役‥‥‥。　あ、あれを、補助って言うのね‥‥丹雫さんは‥」

唯芽　　　「‥い、今思い出しても、震えが来ますぅ‥‥」

沙夜　　　「え？　ど、どうしたんですか、二人とも」

命　　　　「‥‥そ、それは‥‥」

唯芽　　　「‥戦ってて、チャンスの時とか危い時とか‥‥瑠羽奈さんの言う、『補助』が発動するんですぅ‥」

沙夜　　　「う、うん。　‥でも補助って、助けてくれるって事だよね？　だったら、良いんじゃないかなぁ？」

唯芽　　　「‥沙夜先輩は、瑠羽奈さんの『補助』を甘くみてますぅ。　‥‥遊び人の、『補助』を‥」

命　　　　「‥‥モンスターに攻撃されてる時に、『布団が吹っ飛んだ〜！』‥‥とか、真顔で言うのよ？」

沙夜　　　「そ、それは確かに‥‥辛そうですね」

唯芽　　　「あの時は力が抜けちゃって、痛恨の一撃を食らってましたよね‥‥命先生」

命　　　　「ええ‥普通なら、避けられた攻撃だったのに‥‥。
　　　　　　　他にも、私が攻撃してる時に、「電話に出んわ！」‥とか言うから、唯芽ちゃんの後頭部にハンバーガーをぶつけちゃた事もあるし‥」

唯芽　　　「‥‥まだ、その時のコブが残ってますぅ‥」

沙夜　　　「‥‥‥た、大変だったね‥二人とも」

瑞希　　　「‥でも、大丈夫。　レベルが上がれば、遊び人も役に立つんだよ？」

命　　　　「え？　そ、そうなの！？」

瑞希　　　「‥はい。　レベルが上がれば‥‥ギャグのレパートリーが増えるから」

命　　　　「‥‥‥‥つまり、毎回変わるくだらないギャグを聞き続ける運命にある訳ね、私達は‥‥」

沙夜　　　「え、えっと‥‥‥な、なんと励まして良いやら‥。
　　　　　　　‥と、トニカク、ギャグに負けずに頑張って下さい」

瑞希　　　「‥口で言うだけなら、簡単だよね」

瑠羽奈　　「ん？　何よ、何の話をしてるの？」

沙夜　　　「い、いえ。　戦闘における心構えについて、少し‥‥」

瑠羽奈　　「ふ〜ん。　まあ、せいぜい頑張ってね。　沙夜ちゃんが強くなる頃には、あたしが魔王を倒しちゃってるだろうけどさ。
　　　　　　　ほら、みこピーと唯芽ちゃん。　そろそろ行くわよ」

沙夜　　　「あれ？　行くってドコにですか？　洞窟は壁があって、進めないんですよね？」

瑠羽奈　　「ふふん。　あたしが誰だか忘れたの？　仲間にしなかったコトを、後悔させてあげるんだから‥‥えい！」

沙夜　　　「あっ、羽が‥バニーガールの服だから、羽が出しやすそう‥。
　　　　　　　そっか。　空が飛べたら色んなトコに行けますね」

瑠羽奈　　「そ〜ゆ〜コト。　沙夜ちゃんが、あたしを仲間にしてれば、苦労なく次の場所に行けたのにね〜？」

沙夜　　　「うぅ‥ゴメンなさい。　でも、あれはしょうがなかったんです‥‥。
　　　　　　　でも、空を飛べるのは羨ましいですね。　あっという間に、魔王さんのお城にも行けるし」


命　　　　「‥‥え゛？　も、もしかして‥‥行くって、空を飛んでいくの？」

瑠羽奈　　「そ〜よ。　じゃあ二人とも早く来て。　掴んで飛んで行くから」

唯芽　　　「つ、掴んでって‥‥それはちょっと怖いですぅ‥」

命　　　　「そ、そうね‥ちょっと怖いわね」

沙夜　　　「あの〜‥瑠羽奈さん。　やっぱり、あたし達と一緒に行きませんか？
　　　　　　　二人とも、怖がってるし‥」

瑠羽奈　　「そ〜んなコト、今更言たって遅いよ。　空を飛べるあたし達だけで、さっさと魔王を倒しちゃうんだから。
　　　　　　　沙夜ちゃん達は、ず〜‥‥っと！　この島でウロウロしてれば？　じゃあね！」

唯芽　　　「‥へ？　って、わっ！　わっ！！　お下げ！　お下げを掴むのダケは、止めてクダサイぃ！！」

瑠羽奈　　「もう、ワガママねぇ‥じゃあ、ココならいいでしょ？」

唯芽　　　「わっ！　そこは、ズボンですぅ！　そんなとこ捕まれたら、おしり丸見えですよぉ！！」

瑠羽奈　　「大丈夫よ。　唯芽ちゃんみたいな、お子ちゃまのおしりなんて、誰が見ても嬉しくないし」

唯芽　　　「って、そんな理由なんですかぁ！？」

命　　　　「‥あ、あの‥丹雫さん‥。　そ、そこを捕まれると、私‥首が絞まっちゃうんだけど‥」

瑠羽奈　　「あ〜もう！！　みんな、ワガママ過ぎ！
　　　　　　　これ以上ワガママ聞いてらんないから、さっさと行くよ？　えい！！」

唯芽　　　「あ〜っ！　る、瑠羽奈さ〜ん！！　やっぱり、おしり丸見え‥って言うか、脱げちゃいそうですぅ！！」

命　　　　「る゛、るうなざん‥‥ご、ごっぢは、みごどに、ぐ、ぐびがじまっで‥‥」

瑠羽奈　　「もう、文句ばっかりなんだから。
　　　　　　　じゃあ、スピード上げて、さっさと次の場所に行くから、それなら良いでしょ？」

唯芽　　　「ひぃやぁっ！！　る、瑠羽奈ざ〜ん！！　ズボンがビリって言ってる！　ビリって！！」

命　　　　「あ゛〜‥‥‥‥ぎれいながわど、お花ばだげが見えるわぁ‥‥・」





瑞希　　　「‥‥羨ましい？」

沙夜　　　「び、微妙‥‥かな。　‥‥あたし達はあたし達で、地道に行こうね‥」

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洞窟の中にて。


かりん　　「セラさんのお話では、ここに牧村さんが使われた、魔法の玉があるのですよね」

沙夜　　　「う〜んと‥タブンそうだね。　埋め立てた跡があるし。
　　　　　　　瑠羽奈さん達も、ココから別のトコに行けるって言ってたから」

静乃　　　「洞窟にしては、結構キレイですね。　これなら、スグ見つかりそうです」

瑞希　　　「‥誰かが、持っていってなければ‥ね」

沙夜　　　「あっ、そっか。　特別製って言ってたし‥珍しいから、誰かが持ってっちゃったかも」

かりん　　「その時は、別の手を考えましょう。　取り合えず、探してみませんか？」

沙夜　　　「うん、そうだね。　じゃあ手分けして探してみよっか」


‥　３０分後　‥


沙夜　　　「う〜ん‥無いねぇ。　誰かが、持ってっちゃったのかなぁ？」

かりん　　「そうですね‥その可能性も、強くなってきましたね」

瑞希　　　「うん。　‥でも、一つ良いかな？」

沙夜　　　「ん？　なに、春日さん」

瑞希　　　「‥その、魔法の玉って‥‥どんな形なの？」

静乃　　　「あっ、そうですねぇ。　そう言えば、私も知りません。　かりん先輩は？」

かりん　　「あっ、それがその‥名前からして、水晶の様な物かと思いこんでいたのですが」

沙夜　　　「あたしも、神瞳さんと同じ。　‥もしかしたら、違う形なのかなぁ？」

かりん　　「そうですね‥もしかしたら、そこらにある石と、変わりない形をしているのかも知れませんね。
　　　　　　　仕方ありません。　私が走って、玉の形状を聞いて来ます」

瑞希　　　「‥でも、その間にモンスターが出たら‥」

沙夜　　　「そうだね。　別々になるのは、あまり良くないよね。
　　　　　　　‥ってワケで、行くなら一緒に行こ？」

かりん　　「はい、分かりました。　それでは行きましょう」


静乃　　　「でも、戻るなんて時間の無駄ですねぇ。　瑠羽奈さんとの差が、また広がっちゃいます」

沙夜　　　「うん‥でも、瑠羽奈さん達と比べる事はないよ。　あたし達はあたし達で、頑張れば良いんだから」

静乃　　　「う〜んと‥別に比べてる訳じゃないんです。　実は、唯芽ちゃんが落とし物をしたから。
　　　　　　　早く届けてあげないと、困ってるかな〜って思って」

かりん　　「‥落とし物？」

静乃　　　「はい。　さっき、瑠羽奈さんが唯芽ちゃんのズボンを掴んだ時に、ポケットから落ちたんです。
　　　　　　　キレイな玉だし、貴重な物じゃないかと思うんですけどね」

瑞希　　　「ねぇ‥‥。　それって、もしかして‥‥」

沙夜　　　「‥うん、あたしも思ったんだけど‥‥‥それが、魔法の玉って事はないかなぁ？」

静乃　　　「え？　ホントですかぁ？　‥そう言えば、丸くってキラキラ光ってますけど‥」

瑞希　　　「‥魔力を込めてみれば分かるよ。　魔力が、その玉にこもれば本物の魔法の玉だと思う。
　　　　　　　‥試してみる？」

沙夜　　　「うん、そうだね。　それじゃあお願いします」

瑞希　　　「じゃあ貸して。　‥はぁ〜‥‥」

沙夜　　　「‥‥‥どう？」

瑞希　　　「‥うん、魔力が中に入っていく‥。　普通の石なら、そんな事ないから‥‥多分、これが魔法の玉」

静乃　　　「そうですかぁ。　じゃあ、先に来た唯芽ちゃんが拾ってたんですね。
　　　　　　　それじゃあ、その玉を投げれば、あの壁も壊せるんですよね？」

瑞希　　　「うん。　でも‥どれくらい魔力を込めたら良いんだろう？
　　　　　　　弱すぎたら、壁は壊れないし‥‥強すぎたら、洞窟ごと崩れて、私達も生き埋め‥‥」

かりん　　「それでしたら、少し弱い魔力を込めたらどうでしょう？
　　　　　　　特別製で、何度でも使えると言っていましたし、壁が壊れるまで、少しずつ魔力を高めれば良いと思います」

沙夜　　　「あっ、サスガ神瞳さん。　あったま良〜い。　じゃあ春日さん。　それでお願いします」

瑞希　　　「‥分かった。　それじゃ、弱い魔力を込めて‥‥‥はい」

かりん　　「な、投げるのは、私なんですか？
　　　　　　　あ、あの‥‥これは、どれくらいの衝撃で爆発するのでしょうか？」

瑞希　　　「‥さあ？　でも込めた魔力は弱いから‥‥思いっきり投げないと、爆発しないかも」

かりん　　「そうですか。　それでは、思いっきり行きますね？　そ〜‥れ！！」


　「ドゴン！！」


沙夜　　　「わっ！　す、凄い‥‥い、今、２００キロは出てたよ‥多分」

瑞希　　　「‥‥世界新だね、それって」

静乃　　　「あ、あのぉ‥それは良いんですけどぉ。
　　　　　　　あの玉‥‥爆発しないで、壁に小さな穴だけ開けて、向こう側に行っちゃいましたよ？」

瑞希　　　「‥あまりに凄いスピードだったから‥爆発する間も無かったみたいだね」

沙夜　　　「‥‥‥‥え゛？　で、でも、玉だけ壁の向こう側って事は‥‥‥あ、あれ？　もう、魔力は‥‥？」

瑞希　　　「うん、込められないね。　‥あの、小さな穴を通って、玉を持ってこれるなら別だけど‥」

静乃　　　「あ〜、あれはエリス先輩でも無理ですねぇ。　穴が小さすぎます」

沙夜　　　「‥と言うより、あの穴って、玉より小さくないかな？　絶対、取れないと思う‥」

静乃　　　「と言う事は‥これで、お手上げって事ですかぁ？
　　　　　　　瑠羽奈さんが言う様に、この島でず〜‥‥っと、ウロウロしてる事になっちゃいました？」

沙夜　　　「‥‥ど、どうも、そうみたいな気が‥」

かりん　　「え、えっと‥‥‥わ、私のせいですか？」

瑞希　　　「うん。　割と全部‥神瞳さんのせい。　‥これで、ゲームオーバーだね‥‥。　残念でした」




　〜　　Ｇａｍｅ　Ｏｖｅｒ　　〜








沙夜　　　「‥‥‥こんなゲームオーバー、イヤすぎる‥」

かりん　　「と、途中で諦めてはいけません！
　　　　　　　よ‥要するに、壁の向こう側に行ってしまった魔法の玉を、持ってくれば良いんですよね？」

沙夜　　　「う、うん。　そうだけど‥‥一体どうやるの？　あの穴じゃ小さすぎて、手も入らないし‥」

かりん　　「通れなければ、道を造れば良いのです。　それではみなさん、離れて下さい。　はぁ〜‥‥‥」

沙夜　　　「‥え？　な、なに、何が始まるの！？」

かりん　　「霞・三連！！！！」


　『ドッカーン！！！！』


静乃　　　「きゃっ！！　‥ゴホッ‥ゴホッ‥‥す、凄いホコリ‥‥。　一体、何が起こったんですか？」

沙夜　　　「‥‥‥か、壁が‥‥‥神瞳さんの一撃で、木っ端微塵に‥‥」

かりん　　「はい、これで道が出来ました。　えっと、さっきの玉は‥‥‥あっ、ありました！　良かったぁ‥壊れてない。
　　　　　　　はい、瑞希さん。　どうぞこれに、先ほどより強い魔力を込めて下さい。　今度こそ、壁を壊しましょう！」




沙夜　　　「‥‥壁はもう無いのに‥‥あの玉に魔力を込めて、神瞳さんは何を壊すつもりなんだろう‥？」

瑞希　　　「今度は、常識の壁を壊すつもりなんだよ‥‥きっと」

静乃　　　「春日先輩‥‥立派な遊び人に転職できそうですね」


・・・続く


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