『Ｍｉｓｓｉｎｇ　Ｂｌｕｅ』　ドラマＣＤみたいなもの　〜　特別編４　〜　ページ５　



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　＜　ダイジェストその４　　〜　黄金の鍵　〜＞



とある島にて。




かりん「やっと辿り着きましたね…。　ここが探していた島でしょうか？」


瑞希「うん…タブンね。　聞いた話だと、ココに黄金の鍵があるとか何とか…」


沙夜「わおーん　（ねぇねぇ。　鍵もそうだけど、ココに水晶のカケラは無いの？）」



かりん「はい、残念ながら無いようです。
　先程、やまびこの笛を吹いてみましたが、反応はありませんでした」


瑠羽奈「まっ、世の中そう甘くないってコトね」




瑞希「…世の中、ナメきってる瑠羽奈さんが言っても、説得力のカケラもナイけどね…」


瑠羽奈「……言いたいコトがあるなら、もっと大きな声で言ったらどーよ？」




瑞希「…ココには、カケラが無いね……って言ったダケ。
　それより、鍵はドコにあるの？」


かりん「さあ、細かい場所までは…。　この島に住む愛犬家の方が、お持ちだったそうですが」



瑠羽奈「ふーん。　んじゃ、犬に聞いてみれば分かるんじゃないの？
　ほら、沙夜ちゃん。　丁度あそこに犬がいるし、チョット聞いてみてよ」



沙夜「わ、わぉん？　（えっ、あたしが聞くんですか？　…あ、あたしに犬の言葉、分かるのかなぁ？）」



瑠羽奈「そんなの、やってみれば分かるでしょ。　たまには沙夜ちゃんも、役に立ちなさいって」




瑞希「…そう言う瑠羽奈さんは、いつ役に立つんだろう？」



瑠羽奈「うっさいわね……いーのよ、あたしは。
　癒し系なんだから、いるだけで役に立ってるのっ」



瑞希「……そんな系統が近くにいたら、生臭そうだだけど…」

瑠羽奈「『イワシ系』じゃないわよ、言っとくけど！！」




瑞希「…よく分かったね……イワシ。　『生臭い』って情報ダケで…」



瑠羽奈「…まー、あんたとの付き合いも長くなったからね。　余計なコトまで、分かっちゃうのよ。
　それよりも、ほらほら、沙夜ちゃん。　早く話を聞いてきてよ」



沙夜「わぉん……　（は、はぁ、ワカリマシタ。　…でも、話が聞けなくても怒らないでクダサイね？）」



瑠羽奈「ダメだった時のコトなんて考えない！　さっさと行く！」


沙夜「き、きゃいんっ　（は、はいっ、行って来ます！）」



　『ダダッ！』




瑞希「…走ってったね。　でも…ホントに、犬と意思疎通ができるの？」


かりん「さ、さぁ…。　姿は子犬ですが、基本スペックは沙夜さんのままですからね。
　私の予想では、恐らくムリかと」



瑠羽奈「だからー、試してみりゃ分かるって。　…あっ、ほら。　話しかけたわよ」


瑞希「うん、頑張ってるね。　…でも、あんまり調子よくないみたい…？」


かりん「確かに…。　何やら威嚇されてますね」





犬「ワンワンワンワンッ！！」

沙夜「わ、わおん、わぉん…　（ひぃっ？　…お、落ち着いて、わんちゃん。　ケンカをしに来たんじゃないから…）」





瑠羽奈「あらー。　わんわん、吼えられまくってるわねー。
　んでも、沙夜ちゃん偉いじゃん。　吼えられても、頑張って話しかけてるじゃないの」


瑞希「と言うか……頑張ったら、そろそろ危険っぽい気が…」






犬「ガルルーーーッ！！」

沙夜「き、きゃいん、きゃいんっ！！　（わっ！？　お、襲ってきたー！！？？）」



　『ダダダッ！！』





瑞希「…やっぱりね。　見事に襲われてるよ……沙夜さん」


かりん「などと、ノンビリ見てる場合じゃありませんよ！？　は、早く、お助けしないと！！」




瑞希「…あっ、少し待って神瞳さん。　私…チョット思いついたんだけど…」


かりん「な、何をですか！？」





犬「ワンワンッ！！」

沙夜「きゃいんきゃいんっ！！」





かりん「…って、凄まじい勢いで危険そうです！　み、瑞希さん！　な、何か、打開策が！？」



瑞希「打開策と言うか……ほら、あの犬だけど…。　よく見ると、オスっぽい気がしない？」


かりん「わ、私には分かりませんが…そ、それが何か！？」





犬「ワンワンワンッ！！」

沙夜「きゃいんきゃいんきゃいんっ！！！」






瑞希「つまりね………このまま放っておけば、この前潰えた夢が…。
　異種間の子供の誕生が、この目で見れるかと思って…」



かりん「…って、それは命の前に、貞操の危機！！！？？？
　…さ、さやさーーーんっ！！！？？」





沙夜「き、きゃいーーんっ！！！　（は、早く、助けに来てーーーっ！！！）」







とある神殿前にて。




かりん「ふ、ふぅ……危ない所でしたね、沙夜さん…」


沙夜「…く、くうぅーん……　（…も、もう二度と、犬に話しかけたりしないよ……あたし）」



かりん「ああ、すっかりトラウマに…。
　ご、ご安心下さい、沙夜さん。　あの犬は、メスでした」


沙夜「…くうぅーん……　（…そーゆー問題じゃないし）」




瑠羽奈「んで、沙夜ちゃん。　あの犬から、ナンか情報をゲット出来たわけ？」



瑞希「…ヒドイね。　あんな、命がけの逃走劇を見ておきながら……そんなコトを聞くんだ？」


かりん「…と言うか、放っておこうと言った瑞希さんが、一番ヒドイと思いますが…」





瑞希「……トコロで、コレは何の建物なのかな？」


沙夜「わぉん…　（話をそらそうとしてる？）」




瑠羽奈「てーか、ナンか偉そうな建物ね、コレ。　教会かしら？」


かりん「あるいは、神殿かも知れませんね。
　教会と言うには、かなりの威圧感を感じますから」



瑞希「ちなみに、その威圧感の正体は…多分、バリアだと思う…」




瑠羽奈「ばりあー…ってナニよ？
　おじーちゃんとか、おばーちゃんなら入りやすい神殿ってコト？」


沙夜「おん…？　（…それはもしかして、バリアフリーですか？）」




瑞希「……フリーじゃなくて。　タダの、バリアの方ね…」


瑠羽奈「ん？　だからぁ、タダだから『フリー』じゃないの？」




瑞希「…無料の、『Ｆｒｅｅ』ってコト？
　……ナルホド。　それなら確かに、バリア・フリーかも………奥が深い」





かりん「あ、あのぉ…。　凄まじい勢いで、論点がズレている気がするのですが…。
　け、結局、バリアとは何なのでしょうか？」



瑞希「うんと……つまり、入るだけでダメージを喰らう空間のコト…」



沙夜「わぉん…　（その空間を、『バリア』って言うんだ？
　…瑠羽奈さんがチャチ入れなければ、話がサックリ進んだのにね）」




かりん「成る程……バリア空間ですか。　確かに、強い力を感じます。
　生命力が弱い者では、入るだけでかなりのダメージを喰らうでしょうね」



瑞希「うん…普通には入れないね。　だから、バリアを無効化する魔法がある……んだけど…。
　まだ私には使えないから…」


沙夜「おん、おんっ　（あたしは犬だから、魔法は使えないし……あっ、そうだ。
　魔女さんですし、瑠羽奈さんはどうですか？）」




瑠羽奈「ふっふっふ……沙夜ちゃん、魔女の孫を甘く見ないでよ。
　そんな魔法……………使えるワケ、ないじゃんっ！！！」


瑞希「…だから、そこまで威張って言わなくても…」




瑠羽奈「だからー、あたしはドドンと、ド派手な攻撃魔法しか使えないってーの。
　ドラグ○レイブ！！　…とかね」


沙夜「わぉん…　（ソレはもう、ナニからナニまで違う気がしますけど…）」




瑠羽奈「てー、ワケだから。　あたしに、チマチマした魔法を期待しないでね」



瑞希「うん…大丈夫。　瑠羽奈さんに期待なんて、コレっぽっちもしてないから…」


瑠羽奈「……そー言いきられるのも、ナンか複雑なんだけど」




かりん「えーと……話を総合すると、今の私達では、ココには入れないのですね？
　この場所は、とても怪しいのですが…」


沙夜「わんっ　（あっ、そうだよね。　バリアで隠してる場所だもん。　何かスゴイ物があるんだよ、きっと）」



瑠羽奈「あー、んじゃさ。　黄金の鍵も、こん中にあるワケね？」



かりん「その可能性はあります。　だとしたら、やっかいですね…。
　バリア無効の魔法を覚えるまで、放置しておくしかないのでしょうか？」



瑞希「…ううん、ムリすれば入れるよ？　一歩で、１０くらいのダメージを喰らうけどね…」



かりん「はぁ、１０のダメージですか。
　…１０とは、具体的にどれくらいなのでしょうか？」



瑞希「そうだね…んー……。
　…神瞳さん作のクッキーを食べた時のダメージが、おおよそ１００くらいだから……その１０分の１？」



かりん「……具体的な例が出ても、やはりマッタク分からないのですが…」




瑞希「それじゃあ……沙夜さんのHPは、『５』だから…。
　一歩入ったダケで死んで、さらにお釣りが来るダメージってコト…」


沙夜「おん…　（あたしのHP、５しか無いんだ…）」




瑞希「うん…。　戦闘能力、たったの５か……ゴミめ。　…みたいな感じ？」


沙夜「わぉん……　（しかも、ごみ扱い…？）」


かりん「……あのぉ。　それだと沙夜さんは、私のクッキーを食べたら、２０回は死ぬと…？」




瑠羽奈「まあ、沙夜ちゃんならしょーがないって。　なにせ今は、犬だしね。
　でも、神瞳かりんなら行けるんじゃない？」



かりん「さあ、どうでしょう。　試してみないと、何とも言えませんね…。
　ですが、ここで立ち止まっていても仕方ありません。　行けと言われれば、行ってみますが？」



瑞希「うん…神瞳さんなら、大丈夫だと思う…。　神瞳さんのHPは、『６５,５３５』だから…」


瑞希「わおんっ！？　（あたしの、一万倍以上！？）」




かりん「と言う事は……１０のダメージを食らっても、６千歩以上進めそうですね。
　それなら何とか、行って戻ってこれそうです」



瑞希「と言うか……この世界なら、６千歩もあれば端から端まで行けるから…」





かりん「では私一人で、中に入ってみます。　皆さんは、ここでお待ち下さい」



瑠羽奈「そんな痛そうなの、言われなくても待ってるって」


瑞希「右に同じ…」


沙夜「おんおんっ　（頑張ってね、神瞳さんっ。　辛いなら、戻っても良いんだからね？）」




かりん「はい、無理はしません。　では…行きますっ」



　『ビリリッ！』




瑠羽奈「あら、イタそーな音がしたわね。　…どーお、神瞳かりん？」



かりん「は、はい…。　確かに今、少しビリッと来ました」


瑞希「…大丈夫そう？」




かりん「あっ、はい。　これなら、静電気の方が痛いです。
　それでは、大丈夫そうなので…一気に行ってきます！」



　『ビリッ！　…ビリリリリリリリッ！！！』




沙夜「わ、わぉん…　（す、スゴイ…走って行っちゃった。
　……にしてもあたし、静電気より弱いバリアで死んじゃうんだ…）」



瑞希「…そしてクッキーで、２０回死亡……。　拾い食い、しないようにね？」




沙夜「わぉぉん…　（う、うぅぅ……た、確かに、ゴミレベルなのかも……あたし）」







１０分後、同じ島にて。




かりん「ふぅ…只今戻りました」



沙夜「わぉーんっ　（あっ、神瞳さんお帰り。　大丈夫だった？）」


かりん「はい、何の問題もありません。　心配をかけてしまったようで、申し訳ありません」




瑠羽奈「まあ、あたしはマッタク心配してなかったけどね」


瑞希「…右に同じ」


沙夜「わ、わん…　（す、少しは心配してあげようよぉ…）」




瑠羽奈「この子を心配するだけ大損だって。　それより、中に鍵はあったの？」



かりん「あっ、いえ…残念ながら、鍵はありませんでした。
　その代わりに、こんなモノがありました」



　『…ドンッ』




瑠羽奈「……なによ、このデッカイのは？」


瑞希「………はた織り機？」



かりん「あっ、良く分かりましたね。　中に、『聖なる織り機』と書いてありました」



瑠羽奈「…はぁ？　織り機って、洋服を作る機械でしょ？
　そんなモンに、聖なるも邪悪なるもナイじゃん」



かりん「そう言われましても…。　確かにこれは、『聖なる織り機』だそうです。
　どうやら、かなりの力量を持った職人にしか使えないようですね」



沙夜「わおんっ　（スゴイ人しか使えないから、『聖なる』なんだ？
　それじゃ、これで作った服って、スゴイ強そうだよね）」



かりん「あっ、はい。　中に、説明書もありました。
　この織り機で作った服は、『水の羽衣』と呼ばれ…。　炎のダメージを軽減できるそうです」


瑞希「そうなんだ…。　じゃあ、早速作ってみる？」



かりん「あっ…いえ。　まずは、これを使いこなせる職人さんを探さないと…」



瑠羽奈「つーか、神瞳かりん。　あんた、料理は沙夜ちゃんが２０回は死ねるくらいに不器用だけど、それ以外はワリと器用じゃん。
　あんたになら、作れんじゃない？」




かりん「……長い枕言葉が、とても気になりますが……と、取り合えず、私には無理です。
　これほどの道具となると、余程の技量が無ければ使いこなせません」



瑞希「技量が無くても……沙夜さんなら、作れるかも。
　自分の毛をむしって、立派な毛皮のコートとかを…」


沙夜「わぉん？　（…ソレって、ドコの恩返し犬？）」




瑠羽奈「ふぅーん、スンゴイ職人ねぇ…。　そーゆー人に、心当たりはナイの？」



かりん「そ、そうですね…。　いることはいますが、今、ドコにいるやら…」


瑞希「…もしかして、『ドン・エリス』さん？」



かりん「あっ、はい。　エリスも、かなりの実力を持った職人です。
　魔法の武具を作るのにも長けていますから、恐らくは可能かと」



瑞希「…そう言えば、言ってたね。
　『自慢のこの愛らしさで、ミサイルから羽衣からガセのマントまで、何でも揃えてみせるゾー』…って」




沙夜「……おん…　（…今、最後に何か増えてたような…）」


かりん「う、うぅ……その件は、本当に申し訳なく…」




瑠羽奈「なら、そのエリスって子を探せば良いじゃん。　ドコにいるか、知らないの？」



瑞希「ううん…住んでる町は聞いたから。　探せば見つかると思うけど…」


かりん「あっ、流石は瑞希さんですね。　私は、聞くのを忘れていました」



瑞希「まあ、タマタマだけどね…。　ガセのマント……返品できると良いね？」


かりん「う、ううぅぅぅ……ほ、本当に、その件は申し訳アリマセンでした……」





沙夜「わ、わんわんっ　（ま、まあ、それは置いといて…。
　エリスさんを探すのは良いけど、黄金の鍵はどうします？）」



瑠羽奈「ああ。　そーいや、ソレを忘れてたね。
　……沙夜ちゃん。　もう一回、ワンコにチャレンジする？」




沙夜「……わぉん……　（……ゼッタイ無理なんで、ヤメときます…）」



瑞希「そうだね…。　次こそは、かなりマニアックな１８禁ＳＳになっちゃうかも知れないし…ね」


かりん「い、いえ…。　沙夜さんは、幻覚で犬に見えているだけですから。
　その様な心配は、無用だと思いますが…」



瑞希「じゃあ…噛まれる心配は？」


かりん「そ、それは……多々ありますね」



瑠羽奈「んま。　ＨＰが『５』の沙夜ちゃんじゃ、一回噛まれたダケで、あの世行きね。
　にしても困ったわねー。　他に、犬の気持ちなんて分かりようがナイし」


瑞希「ホント…。　折角犬の姿になったのに、こんな重要イベントで役に立たないなんてね…」





沙夜「わん…　（…う、うぅぅ……あたしはしょせん、ＨＰが『５』しか無いゴミですから…）」





瑞希「……そこまで、卑屈にならなくても良いけど…」


瑠羽奈「つーか、９割以上が、あんたのせいって気もするけどね」






かりん「あのぉ…皆さん。　お悩みの所、申し訳ありませんが……少し宜しいですか？」



瑠羽奈「ん？　何よ、神瞳かりん」




かりん「えぇと……私、最初から思っていたのですが…。
　沙夜さんが首にしている、『バウリ○ガルの首輪』を、あの犬に付ければ……意思疎通も可能なのでは？」






瑞希「………あっ」

瑠羽奈「………あら」

沙夜「………わ、わぉん…」






かりん「あっ、い、いえっ。　私、機械の事は本当に詳しくないので…そう思っただけなのです。
　ですから、不可能なら忘れて下さい」




瑞希「ううん……出来ると思う…それ。
　『沙夜さんの言葉』…じゃなくて。　『犬の言葉』を翻訳する機械だから…」



瑠羽奈「そーよねー。　誰よー、沙夜ちゃんに、犬の話を聞いてきなさーいって言ったの」


かりん「……間違いなく、瑠羽奈さんでしたよね？」






沙夜「わ、わぉん……　（……と、言うコトは……あ、あたしの命がけの苦労は、１００％無駄だったの！？）」





　・・・続く



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